就活したときの疑問:お金をかけないこと
私は数年前、就活生だった。
そのときとある広告会社を受けたときに大変違和感を抱いたのを思い出したので、記録のために書く。
・お金をかけないことはいいこと?
その会社の説明会でしきりに強調されていたことがあった。
「お客さんが、お金があまりないけどどうにかしてほしいと言う。それに応えられたときが楽しい」
「少ない広告費で、大きな効果を生み出せた」
確かに昨今の社会ではコスト管理の問題がよく取り上げされている。
無駄を減らし、より効率的に効果をあげるというのは確かにいいことだと思う…のだが。
はっきり合わないなと思ったのは、面接のとき。
「楽天にあるとある店舗の管理・広報業務を請け負うことになりました。新進気鋭のお店ですが知名度がないため、広報業務によって知名度・売上・アクセス数を伸ばしたいという設定です。あなたならどんな形で広報する?」
そういうお題が出され、凡庸な私は凡庸なりに一通り考えられる対策を挙げていった。
商品を実際つかってみたPR動画を作るとか、商品のサイズ表記や使ってみてどうだったかを書いたりとかして、信用度をあげるとか。
その中で最後にあげたものに、試験官たちは反応した。
「まず知名度があまりなく、近年はネットショップも星の数ほどあるため、SNSや楽天にも広告を載せて、アクセス数自体を増やすということも考えたいです」
「でもそれだとお金かかるよね?」
「はい。もちろんお客様に相談して許可が貰えたらの話ですが」
「いや、そうじゃなくて。お金をかけないでできることってないの?」
私は答えに困ってしまった。必要経費ではないのかと思ったからだ。
確かに私があげた広告のうち方はお金を出すかわりに短期でお客様の目をこちらに向けるという方針なので、長期的にじっくり取り組むという考えに合わなかったというのも考えられる。
しかしこの試験官はどちらの理由でもなく、ただただお金をかけず最低料金でお客様を満足させなければならないと私に話した。
必要経費が増えないよう、身の回りにあるもの使ったりアイディアを出してほしいと言った。
身の回りに~からの言葉はさすが広告会社と思うが、必要経費が増えないようにとは…。
身を削り、お金をかけないで儲けさせるというのは、なんだかブラックの極みだと思うのは私だけだろうか。
そこの会社は昔、小さな紙を少し工作したもので大きな会社からの仕事を他社を出しぬいて取ったということがあったそうなので、そういうアイディアを求めていたのもあるだろう。
だけどなにを売る会社かも設定されてないのに、それをひねり出せ今この場ですぐにとはちょっと難しい話な気もする。
ちなみに先ほどの問いかけには、試験官のいい年したおじさんが面接しながら、しかしこちらも見ずに携帯いじってたり、途中で声もかけずに体質したりするのがありえんと思っていたため、考える気力が落ちて思い浮かばないと答えた。
見事その会社はお祈りされてしまったが、落ちてよかったと今では思う。
私は働いた分だけちゃんとお金がほしいのだ。