青春の一冊、読書の扉を開く
特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
私の「青春の1冊」はたくさんある。
どの本も、読むことで私にたくさんの世界を、可能性を、夢を見せてくれた。
実益的な方面でいうと、読解力や速読力、漢字の力を伸ばしてくれた。
ただ、その中から1冊だけをと言われたら、「ハリーポッターと賢者の石」を挙げる。
なにせこの本は、私の読書世界をグンと押し広げたからだ。
小学校1年生のある夕方に、母からこの本を与えられた。
この時、クラスメイトに比べれば学級文庫の本や図書室の本を読んではいたが、まだまだ「かいけつゾロリシリーズ」や、ジブリのアニメーションブックを読んでいた私にとって、ハリーポッターはあまりにも分厚く、あまりにも字が詰まっていた。
うわ~むずかしそう。
しかしおもしろいらしいと聞いて、おずおず読んでみると、気づけば夜の9時、就寝時間がやってきていた。
読んでいるうちにおもしろすぎて時間が吹き飛んだのである。
その当時、私は主人公三人組がトロールに襲われるところまでしか読めなかった。
楽しさの余韻で続きにワクワクする反面、まだたくさん残っているのに読めない悔しさがあふれた。
そして、なるべく早く、正確に、与えられたその日のうちに読んでしまえるように力をつけた次第である。
ふりがながふっていて読めるけど難しいことばも調べたりした。
というわけで、なかなか結構な国語力がたぶん身につき、分厚い本にむしろワクワクするタイプの人間へと成長を遂げたのだ。
本当にハリーポッターには、内容への感想はさておき、扉を開いてくれたことへの感謝でいっぱいである。
ちなみに青春の終わりかけ、大人になってからは、
ジェームズ・ロリンズ「シグマフォースシリーズ」
森見登美彦「有頂天家族シリーズ」
この3冊と衝撃的な出会いを果たした。
厚さの耐性がなければ出会わなかったであろう。